湘南国際アカデミー高等部キャンパス長の太田里佳です。
当校は、さまざまな特性を持った生徒たちを学習面、精神面から支援し、高校卒業の資格取得までサポートする通信制高校のサポート校です。
今回は、通信制高校への転入・編入に関してご説明していきます。当校でも毎年、転入のご相談を受けており、高校選びのミスマッチによる転入・編入をご希望される方々が増えている昨今の状況を感じております。転入・編入を考えられている方々にこの記事を読んでいただき、次のステップへのご参考にしていただければ幸いです。
意外と知らない通信制高校への転入と編入の違い
はじめに、意外と知らない転入と編入の違いについてご説明していきます。
通信制高校への転入について
転入学とは、現在高校に在籍している生徒が、新たに別の高校に入学することをいいます。転校や転入ともいわれます。「高校を辞めずに、通う高校を別の所に変える」と考えていただければよいかもしれません。 転入学をする場合、現在在籍している高校とこれから転入学予定の高校のどちらとも連絡を取ることが必要になります。現在在籍中の高校に転入学の意思を伝え、新しい高校に提出する必要書類を発行してもらってください。
通信制高校への編入について
編入学とは、高校をすでに退学した生徒がほかの高校へ再入学することをいいます。編入と略して呼ばれることが多いです。以前在籍していた高校で修得した単位数は、卒業に必要な単位数として新しく通う高校へ引き継ぐことができます。編入学をする場合、編入学予定の高校と以前在籍していた高校のどちらとも連絡を取ることが必要になります。以前在籍していた高校へ連絡を取り、必要書類を発行してもらってください。
通信制高校への転入についての大事なポイント
まず始めに、通信制高校に転入するにあたっての確認事項、注意すべき点、基本的流れなどを以下に述べていきます。
自分に合った通信制高校を選ぶために情報収集をする
通信制高校への転入を希望する理由として、高校での友達関係が上手くいかない、高校の雰囲気が合わない、体調面で毎日高校へ登校することが難しくなったなどさまざまなものがあると思います。自分の状況に合った通信制高校を選ぶために、資料請求をしたり、学校見学に行ったりして情報収集することが大切です。
例えば、起立性調節障害があって午前中の登校が難しいようなケースでは午後からのスクーリングに対応してくれる高校を選択する、大人数で騒がしい学校が苦手な方の場合、少人数制の落ち着いた雰囲気の高校を選択する、などがあります。
在籍している高校で取得している単位数を確認する
通信制高校への転入の際は、これまで取得した単位数を引き継ぐことになります。
ここで注意してほしいのは、全日制高校は、1年間をかけて単位を取得する仕組み「学年制」を取っているため、年度の途中で別の学校に移った場合、その年度の単位は認定されませんので注意してください。
卒業までに必要な単位数は取得済みの単位数をもとに算出されます。高校卒業には「74単位」が必要になるので、次の計算で必要な単位数が算出されます。
「74単位−すでに取得済みの単位=卒業までに必要な単位数」
転入する時期、必要書類、試験に関して確認する
前述のように全日制高校は「学年制」を取っているため、年度末まで在籍していなければその年度の単位が取得できません。全日制高校で学年の途中で転入学してしまった場合、前年度分までの単位は引き継げますが、その学年での単位は認定されないので引き継げません。
このようなことから、全日制高校から通信制高校への転入を検討されている方は、年度末まで在籍して取得した単位を転入先に引き継いだ方がよいでしょう。
また、卒業までにかかる年数を割り出すため、転入先の通信制高校の「単位修得上限」を確認することが必要です。単位修得上限とは、「1年間に修得できる単位数の上限」のことで、学校ごとに異なります。一般的に25〜30単位で設定されていることが多く、それ以上の単位を修得することはできません。また、転校する時期によって履修できる単位数が少なくなる学校もあるので注意が必要です。場合によっては、卒業時期が同学年の生徒より遅れてしまうこともあるのでよく確認してください。
尚、高校を卒業するためには通信制高校でも全日制高校でも3年以上の在籍が必要ですが、在籍期間も転入先に引き続き継がれます。
転入では、在籍している高校が発行した在籍証明書、学籍・就学状況証明書、成績・単位修得証明書が必要になります。高校によっては必要な書類が異なっていますので、公式ホームページや資料などで確認してください。
通信制高校への転入で学力試験を設けている学校はほとんどありません。基本的には書類選考と面接試験になります。書類選考のために願書を提出する必要があります。住所、氏名、志望動機、転入した理由などです。この内容によって試験に落ちることは基本的にありません。
・高校卒業資格に必要な単位の取得方法を確認する
以下の記事で詳しくご案内しております。是非、ご覧ください。
⇒「通信制高校とはどんな学校?全日制との違いや高校卒業までの流れを解説!」
・レポートの作成・提出方法、集中スクーリング、単位認定試験の受け方
以下の記事で詳しくご案内しております。是非、ご覧ください。
⇒「通信制高校とはどんな学校?全日制との違いや高校卒業までの流れを解説!」
転入までの基本的な流れ
ここまで通信制高校への転入にあたっての確認事項、注意すべき点を述べてきましたが、これらを確認した後の基本的な手続きの流れは、以下の順番で進めることになります。
- 願書を取り寄せる
- 必要書類を揃える
・在籍する高校に必要書類の発行を依頼
・受験料の振り込み
・入学願書等の作成
・学業成績・単位修得証明書
・高校在学期間証明書
・科目履修状況証明書(転入学の場合)
・転学照会
※転入先の通信制高校により各書類の名称が異なる場合があります。 - 必要書類を通信制高校へ提出
- 書類審査・面接・学力試験など(学校によって異なる)
- 合否判定
- 入学手続き
通信制高校への編入についてのポイント
次に、通信制高校に編入する際の確認事項、注意すべき点、基本的流れなどを詳しく述べていきます。
通信制高校の資料を請求し情報収集をする
編入するにあたっては、自分の状況に合った通信制高校を選ぶために、資料請求をしたり、学校見学に行ったりして情報収集をするようにしてください。自分に合う高校なのか、通えそうな高校なのかをよく見極めることが大切です。
在籍していた高校に連絡して修得単位数などを確認する
以前在籍していた高校で取得した単位数は、卒業に必要な単位数として編入後の高校でも引き継ぐことが可能です。高校1年生の途中で、単位を取得する前に退学した方は、他の学校へ移る際は編入ではなく「再入学」という形になります。まずは、前の在籍高校に連絡をして自分の修得単位数、在籍期間を確認してください。それによって、卒業に必要な単位取得数や在籍期間がわかります。高校卒業には「74単位」が必要になるので、次の計算で必要な単位数が算出されます。
「74単位−すでに取得済みの単位=卒業までに必要な単位数」
編入する時期、必要書類、試験に関して確認する
編入する場合は、入学する時期が重要になります。高校を卒業するためには3年以上の在籍が必要なため、遅れたら遅れた分だけ、卒業に時間がかかってしまいます。転入は「随時入学可」という学校が多いのですが、編入は「時期を限定」している学校が多く、入学できる時期は、編入は転入より少ないのが一般的です。せっかく希望の通信制高校を決めても入学できる時期まで入学を待たなければならないということになってしまうこともあります。入学を待つ分、卒業する時期が遅れてしまいますので、在籍している高校から通信制高校への入学を検討しているのであれば、退学せずに転入することをおすすめします。
退学する前に高校で取得した単位数は編入時に引き継ぐことができます。これまでに取得した単位数で何年次に編入するかが決まります。また、高校の在籍期間も引き継ぐことができます。
編入では、以前在籍していた高校が発行した在籍証明書と成績・単位修得証明書が必要になります。高校によって必要な書類が異なっているので、公式ホームページや、資料請求をして届いた資料などで確認してください。 通信制高校への編入で学力試験を設けている高校はほとんどありません。基本的には書類選考と面接試験になります。
※高校卒業資格に必要な単位の取得方法やレポートの作成・提出方法、集中スクーリング、単位認定試験の受け方に関しては、以下の記事で詳しくご案内しております。是非、ご覧ください。⇒「通信制高校とはどんな学校?全日制との違いや高校卒業までの流れを解説!」
編入までの基本的な流れ
ここまで編入にあたっての確認事項、注意すべき点を述べてきましたが、編入学に関する基本的な手続きの流れは、以下の順番で進めることになります。
- 願書を取り寄せる
- 必要書類を揃える
・在籍する高校に必要書類の発行を依頼
・受験料の振り込み
・入学願書等の作成
・学業成績・単位修得証明書
・高校在学期間証明書
※編入先の通信制高校により各書類の名称が異なる場合があります。 - 必要書類を通信制高校へ提出
- 書類審査・面接・学力試験など(学校によって異なる)
- 合否判定
- 入学手続き
通信制高校に転入・編入するメリットとデメリット
通信制高校に転入・編入するメリットの主なものを挙げていきます。
- 自分に合ったペースで高校に通える
通信制高校は、全日制や定時制のように毎日学校に通う必要がないので、自分に合ったペースで高校生活を送ることができます。時間に縛られる生活が自分には合わないと思っている方やバイトや趣味に時間を費やしたい方にとっては大きなメリットでしょう。また、起立性障害などで朝起きるのが困難な方の場合、午後からのコースがある通信制高校であれば無理なく学校に通えるでしょう。 - 時間や場所に縛られず自分のペースで勉強できる
全日制高校は月曜日から金曜日まで毎日登校して授業を受けますが、通信制高校は年に数回、または月に1回のスクーリングや特別活動に出席するだけで、あとは自分の好きなペースで勉強できます。「早朝の勉強がはかどる」という生徒は早起きをして勉強したり、深夜にやる気が出る生徒は夜から勉強を始めるなど、自分の生活リズムに合った学習ができます。 - さまざまな事情を抱えた生徒に対応している
通信制高校には、過去にいじめの被害に遭った生徒、不登校を経験した生徒、持病や障害があるという生徒、芸能活動に力を入れたい、スポーツでプロを目指したいので全日制高校に毎日通う時間はないという生徒などさまざまな生徒が在籍しています。そのため、このようなさまざまな事情を抱えている生徒を支援するためのサポート体制が学校や先生側に備わっています。全日制高校では事情を抱えた生徒は孤立しやすいですが、通信制高校ならその心配がありません。特にサポートが充実した私立の通信制高校では、生徒や親が相談できる専属スクールカウンセラーがいたり、登校日数や時間を個人の希望に合わせて調整したりもできます。何らかの事情を抱えた生徒であっても、通信制高校であればサポートする体制が整っています。
通信制高校に転入・編入するデメリットについて
メリットだけでなく、デメリットも理解した上で転入・編入を検討するのが大切ですので以下にデメリットを挙げていきます。
- 自分でスケジュール管理する必要がある
全日制高校であれば学校が時間割を立ててくれるので、それに沿って授業や定期試験を受けるだけで卒業に必要な単位が修得できます。しかし、通信制高校は自宅学習が中心なので自分で勉強のスケジュールを立てて進めていく必要があります。高校を卒業するためには、必要な単位を修得すれば良いだけのことなのですが、意外と大変で挫折する生徒が多いのも現状です。例えば「この課題は今日中にやろう」と思っても、学校と違い監視してくれる先生もクラスメイトもいないので、なんとなく気分が乗らないという理由でサボってしまうこともあります。強い意志がなければ一向に勉強が進まず、卒業に3年以上かかってしまう生徒もいます。 - 友人が作りにくいことがある
通信制高校によってはスクーリング以外登校する日がほとんどない高校もあります。クラスメイトとの交流がなく、一人自宅で勉強を進めることになります。全日制の学校のように休み時間に友だちとおしゃべりをしたり、放課後に部活動を楽しむこともできません。(*通学コースの場合は例外です)学校での友人は作りにくくなるので、友達が欲しいと思っている方は通学コースのある通信制高校を選択するとよいでしょう。
ただし、友達はいらないという方であればむしろメリットとなるかもしれません。
通信制高校に転入・編入して後悔しないための注意点
最後に、通信制高校に転入・編入して後悔しないための注意点を挙げていきます。参考にしていただければと思います。
自分が転入・編入する理由を再度確認する
なぜ通信制高校への転入・編入を考えているのか、転入・編入する理由を明確にすることで、その理由に合った高校を探すことになります。自分の夢や目標を実現したい、心身への負担を軽減したい、働きながら高校卒業資格を取得したいなど、さまざまな理由があると思います。どれだけ考えても理由が明確にならないのであれば、まだ転入・編入はしない方がよいかもしれません。転入・編入は大きな決断なので、じっくりと時間をとって考えてみた方がよいでしょう。
自分の不安を解消できるサポート体制や学習環境があるかを確認
自分に合った学習環境・サポート体制を提供している通信制高校を選ぶことは、充実した学校生活を送る上で重要なポイントです。例えば、勉強に苦手意識がある方は、学習サポートが充実した高校を選ぶことをおすすめします。また、自宅や職場などでも授業を受けたい方はオンライン学習を提供している高校、起立性調節障害などで午前の登校が難しい方は午後からのコースがある高校を選ぶのがよいでしょう。
高校卒業後の進路(就職や進学)先を確認
転入・編入を検討している通信制高校の卒業生の進路先を確認して、自分が希望している進路へのサポート体制が充実しているのかを確認することが大切です。例えば、大学受験を希望しているのであれば、大学への進学者数などを確認して大学受験対策に手厚い高校を選択するとよいでしょう。専門的分野での就職を希望しているのであれば、専門的な知識が学べるカリキュラムを提供している高校を選択するとよいでしょう。高校時代に専門的な知識・スキルを習得すれば、卒業後すぐに就職先で活かせます。
サポート校を利用して通信制高校の卒業を目指す
通信制高校へ転入・編入し、自主管理のもと勉強し卒業を目指すことに自信がない、不安がある方にはサポート校を利用することをおすすめします。
不安を安心に変えて高校卒業を目指す
サポート校には、不登校経験のある生徒、さまざまな特性を持った生徒、体調に不安を抱える生徒などが在籍しています。そのような生徒に寄り添い、励まし、高校卒業までをサポートするのが、通信制高校のサポート校です。
サポート校にも種類があるのでいろいろ調べてみましょう
サポート校にはそれぞれ特色があるので、自分の状況に合ったサポート校を選ぶために情報収集することが必要です。例えば、学習内容もサポート校により違いがあります。不登校の時期や学習障害などがあって、「学びなおし」が必要な生徒に対して手厚い支援を行うサポート校、大学受験を目指す生徒を対象にした学習内容を提供するサポート校、スキル・資格取得を目指した学習内容を組み込んでいるサポート校など、さまざまです。
支援体制にも違いがあり、起立性調節障害のある生徒には、午後からの時間割を組む配慮をしたり、不登校を経験してきた生徒が通いやすいように週1日の登校から始めて徐々に登校日数を増やしていくよう支援したりするサポート校などさまざまです。
少人数制できめ細やかなサポートが受けられるサポート校が藤沢駅近くにあります
さまざまな特色を持ったサポート校がある中で、湘南国際アカデミー高等部は、少人数制を取っており、生徒一人ひとりの特性に合ったきめ細やかな支援を行っています。
例えば、学習支援として、小学校・中学校からの「学びなおし」を個別に行ったり、精神的ケアとして、不安や悩みを抱えた生徒にはカウンセラーの先生との面談を設定したりしています。また、担任制を取らず職員全員でひとりの生徒をサポートする体制で臨んでいます。
体調面での支援では、起立性調節障害などによって体調に不安を感じる生徒もスクーリングや単位認定試験に出席しやすいように、実施期間に余裕を持たせたり(約2週間から3週間程度)、実施する時間も出席しやすい午後に設定するなどの配慮をしています。
当校では、無料資料請求をはじめ、通信制高校やサポート校の仕組み、高校卒業程度認定試験、フリースクールに関すること、抱えている課題、転入・編入に関するさまざまなご質問にお答えしていますので、お気軽にお問い合わせください。
皆さま方のより良い未来を築くための一助となれるように、今後も有益な情報発信とサポートを心がけてまいります。
湘南国際アカデミー高等部
キャンパス長:太田里佳
一人ひとりの個性を大切にしながら、安心できる居場所を提供したいという思いから、2019年にNPO法人湘南国際アカデミーに入職。翌年4月からは同法人が運営する通信制高校のサポート校「湘南国際アカデミー高等部」にてキャンパス長に就任。フリースクールや無料慣らし授業、高等部の総合サポートを担当する。同時に、不登校を経験している生徒や発達障害、起立性調節障害などを持つ生徒も安心して学習できる手厚いサポートを目指して学校運営を行っている。